2011.07.01
メディア掲載事例
株式会社NTTデータエンジニアリングシステム 「人とシステム」No.62 2011 (平成23) 年7月1日
当社の事業は、大きく分けて試作、レーシング、3次元測定、金型・治具の4つになります。
まず、主力事業としては、二輪・四輪自動車の開発・試作部品およびレーシング部品の製造です。創業以来30 年以上にわたり、数多くの新機種の開発に携わらせていただき、メーカー様とは直接お取り引きをさせていただいています。当社の特長は、金型・治具の設計・製作、プレス成形、板金加工、レーザー加工、ハンドワーク、溶接、アセンブリ、製品検査までの全工程を自社で行っていることであり、特急品や設計変更・形状変更、コストダウンのご相談にも柔軟に対応することが可能です。次に3次元測定解析の事業ですが、接触式および非接触式の3 次元測定器を用いてお客様の製品を代行で測定・解析しています。非接触式の測定では、製品をレーザーでスキャンしてデジタルデータ化できますので、リバースエンジニアリングにもご活用いただいております。図面やデータがない古い製品や金型、手作業で製作したもの、一品モノなど、実物からCAD データ化することにより、CAD 上で設計変更や改造したり、製品を再生・複製したりすることができます。
当社ホームページのアクセス解析では、「3 次元測定」、「リバースエンジニアリング」などの検索キーワードでアクセスしていただくことが多く、そこから受注に繋がったケースも出てきています。測定器はポータブル式のため、お客様が外に持ち出せない製品などを測定する際は、出張測定も承っています。
それから、金型・治具の事業ですが、二輪・四輪自動車部品のプレス金型、溶接治具・検査治具の設計・製造を行っています。試作で培ったノウハウを交え、部品の生産数や用途、ご予算に応じた様々な種類の型・治具のご提案をさせていただいております。当社の関連会社として、同じ敷地内に株式会社 西山技研があります。西山技研は、1987 年の設立と同時に国内でもいち早く3次元レーザー加工機を導入しており、レーザー加工は24年の実績があります。
試作のニーズは海外にもあり、近年ではインドの現地企業様とお取り引きさせていただいています。現在は、部品を輸出して対応していますが、将来的には現地への進出も検討していかねばと考えております。
以前より海外の需要が増えることを予測して英語が堪能な社員を相次いで採用しており、これまで日本で培ってきた実績ある技術力と併せて、お客様にはご満足いただける対応ができているものと考えています。商談や打合せでは、海外のお客様のところへ行くこともありますが、日本に来ていただくこともあります。現在もいくつかのお話をいただいていますので、商談まで結び付けたいと思っています。
そうした経緯に始まり、現在まで継続してSpace-E を使用しています。Space-E は、GRADE の後継システムだったので、スムーズに移行をすることができました。当社は、複数のCAD/CAM を導入していますが、Space-E はメインシステムとして4 台が稼動しています。操作はSpace-E に慣れているということもありますが、プレスの簡易型を設計している当社のやり方に合っていると思います。Space-E の利点は、CAM で修正箇所を見つけると同じシステムのCAD で修正できるところです。モデリングするときは、ソリッドやサーフェイスにこだわる必要はありませんが、図面から起こすときにソリッドが作りやすい場合もあります。また、GRADE の時からコマンドはキーボードから入力することに慣れているので、Space-E でもアイコンをクリックするよりもキーボード入力の方がスムーズに操作できます。
このようなときに、Space-E/Global Deformation PLUS(以下、レ・フィット機能)をNDES より紹介してもらいました。確かに、シワや破れなどはシミュレーションで予測すると効果はあります。しかし、納期のことを考えると、このレ・フィット機能を使ってスプリングバックを見込んだ金型を製作した方がはるかに早くできるのです。さらに、価格もシミュレーションソフトに比べてかなり抑えることができるため、平成22 年にレ・フィット機能を導入しました。
レ・フィット機能は、3 次元測定により得た現物のSTL データと元のCADデータとの変位量を検出して見込みに反映できるため、製品全面のスプリングバックの見込みの形状を一度に作成することができます。
また、レ・フィット機能は、スプリングバックの見込み加減の倍率調整もできるので、短時間に一括してモデルに反映できます。これで、CAD の作業がかなり効率化されました。以前は、手作業で1枚ずつ面を張り直していたので、金型モデルにスプリングバックの見込みを入れる作業は1日以上かかっていましたが、レ・フィット機能を使うことにより、ほとんどの見込み変形作業が10 分程度で処理できるようになりました。
現在は、初回のトライである程度の見込み予測を入れた成形品を3 次元測定器で測り、製品との差異があれば、レ・フィット機能でその差異分の見込みを入れて一括修正しています。これで、大半のものは2 回目のトライで最終型を作ることができるようになりました。このように、3 次元測定器と組み合わせることで、レ・フィット機能の効果を十分発揮できていると考えています。
3 次元測定器側で出力するSTL データは、そのままでは大容量になるため、適正な間引きが必要となります。現在では、その間引き量の調整もノウハウが蓄積されており、快適にレ・フィット機能を活用しています。
また、リバースエンジニアリングや製品の再生、形状変更などでもレ・フィット機能を活用しています。現物しかないものから形状変更したいというお客様の要望があり、現物を測定してCAD 化したデータを元に後に金型を再生、その金型にレ・フィット機能で形状変更を盛り込んで製作、納品しました。従来の手作業にはない高い精度で再生や形状変更を実現しています。
※製品の再生や改造、形状変更に関わる著作権、肖像権などの各種権利は当社側で保証致しかねますので、事前にお客様側でご確認願います。
電気自動車などの小型自動車製作を想定し、試験的にボディを自社で製作しました。車体はゴルフカートを用いたのですが、ゴルフカートの図面やCAD データはありませんので、現物を3 次元測定器で測って正確な位置出しを行い、そのデータを用いてボディの設計を行いました。ボディとその金型は、メインCAD であるSpace-E で一貫して設計を行い、完成した各ボディのパネルは一切修正することなく、車体に組み付けることができました。
これからは、環境問題の背景にも後押しされ、電気自動車のニーズがますます増えてくると思います。まだ完全に成熟していない電気自動車産業では、試験的な要因が大きいケースもあり、少量生産の需要も多々あると予想されます。そうすると本格的な量産金型では予算に見合わないケースもあるので、試作型の要素やノウハウを加味した簡易型であれば短納期でなおかつ価格も抑えられることをご提案したいと考えています。
レ・フィット機能で見込みモデルの作成時間は大幅に短縮できました。今後は、より詳細かつ正確な見込み予測ができるように、シミュレーションソフトの導入を再検討することも考えています。3 次元測定で新しい分野への進出3 次元測定器は、プレス品に限らず、あらゆる3 次元形状を測定・データ化することができるので、自動車関係だけでなく、様々な分野に広くアピールしていきたいと考えています。
Space-E のレ・フィット機能は、製品現物とともにそのCADデータがあれば非常に高い効果を発揮しますが、現物だけの場合に課題が残ります。現物を測定したSTL データを取り込み、三角パッチ(ポリゴン)を拾って面の作成をしてみたのですが非常につらい作業です。三角パッチのどこをつないだら直線になるのか分からないので、この操作は現実的ではありません。より精度が高く効率のよいリバースエンジニアリングをするには、取り込んだSTL データに自動で面を張り、CAD の面として編集や修正ができるような機能をSpace-E に追加してほしいところです。今は、STL から面を作成するのは他システムで行っていますが、完全にきれいな面が張れないので手修正で補っています。面を分割してそれらしく張り直すことが必要ですが、複雑な形状であれば手作業は難しいと思います。
他のシステムを使用せずにSpace-E で完結できれば、作業効率をさらにアップすることができるので、今後のバージョンアップや機能追加に期待しています。レスポンスの早い対応他のCAD/CAM システムにないSpace-E の特長の一つに、開発もサポートも日本で行われているということがあると思います。この条件を活かした迅速なレスポンスを期待しています。たとえば、当社が依頼した改善項目が、どのバージョンでいつ発行されるかなどの報告をタイムリーにお願いしたいと思っています。
我々が不安に思わないように、システム開発はもちろんですが、展示会、広告など情報発信に関してもNDES は力を入れてください。少し前の型技術の表紙にSpace-E が掲載されたので安心しました。それまでは、Space-E に元気がなくなったと感じていたので、これからは、元気なSpace-E をアピールする意味でも様々なところで情報発信してください。我々もSpace-E に関する情報をいろいろな所で目にすることができれば、おのずとシステム開発を積極的に行ってくれると思えます。できれば、他メーカーよりも早く新機能を発表してもらいたいと思っています。
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