匠の技術とハイテク融合

1997.11.16

メディア掲載事例

静岡新聞 1997 (平成9) 年11月16日

レース用二輪車や市販前の試作車用の部品製造を手掛ける。市販車用に大量生産する一般の部品会社とは違い、メーカー側が試作段階で必要とするバンパーやシャーシのフレームなどの車体部品製造という「すきまの部分に着目した」企業だ。

西山隆社長 (50) は十一年間、大手自動車メーカーで新モデルの試作やレース向けの部品開発に当たってきた。「当時はアルミ溶接と板金技術を兼ね備えた技術者はそれほどいなかった。レースには必要な技術。自らそれを身につけた。」技術を武器に浜松市内で独立。昭和57年、袋井市に移転して翌年、「西山板金工業所」に法人改組した。

「溶接と板金の技術をマンツーマンで社員に教え込んでいった」と西山社長は振り返る。

西山技研は六十二年、業務拡大のため西山板金工業所の関連会社として設立した。設立と同時に「三次元レーザー加工機」を導入。立体的切断が可能な加工機の導入は「会社の成長の分岐点になった」(西山広明専務)。「社員の技術、いわゆる匠の技術とハイテクの融合」(同)。三次元レーザー加工機は現在、二台。CAD/CAM(コンピューター利用の生産準備、生産工程制御技術)も導入し、積極的に設備投資を進めてきた。

試作部品の供給先は県内大手メーカーの二輪・四輪車。軽自動車は来年十月、安全基準の改正に伴い車幅で八センチ、全長で十センチ拡大される。それ故、多くの機種でモデルチェンジも予想される。二年半前から、新基準へ対応するための部品製作に着手。忙しさはバブル期以上だという。新モデル開発に費やされる期間は平均で一~二年、市販に向けた部品生産などを含めれば一年半~二年半ほどとされる。開発にあたりメーカーは試作車を作り各種の実験を重ねる。こうした過程を経なければ部品会社による大量生産も不可能だ。

「試作車用の部品製造はまさにすきまの部分でもあり不可欠でもある。市販車用部品の大量生産とは正反対の発想かもしれない」と西山社長。

来年三月には工場増築が完了し、三次元レーザー加工機も増設する予定だ。

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